ウォーキングと認知症予防(2)
前回はウォーキングを開始し継続する方法について説明しました。今回はウォーキングの認知機能に対する効果と歩き方についてご紹介したいと思います。
ウォーキング習慣が高齢者の精神機能や認知機能に与える影響について検証した研究では、ウォーキングを実施した参加群の方が非参加群よりも、日常生活における活動性や生活歩数が優位に増し、精神的健康度も有意に高いと報告されています。認知機能については、対象者全体での有意差は認められませんでしたが、やや認知機能が低下した方だけで分析したところ、注意・遂行機能を反映する「数字ひらがな追跡課題」では参加群で有意に反応時間が短くなっていたということでした。
また、東京都健康長寿医療センター研究所の矢冨直美氏の報告では、カナダで行われた研究で、5年間に4500人以上の男女の追跡調査を行い、生活習慣を分析したところ、通常の歩行しかしていない人に比べ、ウォーキングなどの運動習慣が週3日以上ある人はアルツハイマー病のリスクが半分だったという結果が述べられています。同様に東京都健康長寿医療センターの研究では、70歳以上の 660人を対象に生活ぶりや身体機能を調べ、歩幅を「広い」「普通」「せまい」の3つのグループに分けて分析した結果、歩幅の「せまい」グループは、「広い」グループに比べ、認知機能が低下するリスクが3.4倍高いことが分かりました。アメリカの医師会がアルツハイマー病のある高齢者に週3回、50分ずつウォーキングをしてもらったところ、6か月後には認知症の改善がみられたという報告もあります。
このようにウォーキングには認知機能改善に効果が期待できることが示唆されていますが、闇雲に歩いても十分な効果が得らません。そこで、インターバルウォーキングという方法をご紹介したいと思います。
【インターバルウォーキング】
インターバルウォーキングは、通常のウォーキングの中にスピードウォーキングを取り入れるというものです。スピードにアクセントがつくことで飽きがこず、脂肪燃焼効果も高まります。
方法は通常のウォーキングとスピードウォーキングを無理のないように3分ずつ繰り返します。普段のウォーキングにインターバルウォーキングを3セットほど取り入れましょう。1日で10分、週1時間以上くらいの運動量で行います。
信州大学の研究では筋力や筋持久力がアップすることで疲れにくい体になり、リズムの変化が前頭葉を刺激するため、通常のウォーキングよりも認知症予防の効果が期待できると言われています。
健康のためにウォーキングを行う患者様は沢山いらっしゃると思います。適切な方法を提示し健康な身体作りの手助けとしてみてはいかがでしょうか。