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リハビリノート
NOTE

ウォーキングと認知症予防(1)

 日本は65歳以上の4人に1人が認知症かその予備軍と言われる時代になってきました。認知症の原因疾患で一番多いのはアルツハイマー病で、次いで脳血管障害であり、さらには高血圧や高脂血症、糖尿病などによって発症の危険度が高まることが分かっています。早期から、このような生活習慣病の予防に取り組むことが認知症を防ぐことにつながるといえます。

 認知症の予防や発症を遅らせたりするために有効な生活習慣の1つとして運動習慣があげられますが、中でも特におすすめしたいのはウォーキングです。なぜなら、ウォーキングに特別な道具は必要ありませんし、日常生活の中に取り込みやすいという利点があるからです。しかし、普段、バスや電車に頼っている人にとってはウォーキング習慣を身につけるのは容易なことではないでしょう。

 週1回以上ウォーキングを実行するようになった高齢者53名にどんな方法でウォーキング習慣を身につけたかを尋ねた調査結果があります。「用事や楽しみのついでに歩いた」「歩数計を身につけた」「歩数を記録した」などの回答があげられました。

 ウォーキングという健康行動を増やすには、臨床心理学の分野で用いられる認知行動療法がとても役に立ちます。「歩数計を身につけて記録をする」という行動はウォーキング行動を増やすために効果的な「セルフ・モニタリング」という技法です。毎日歩数計を装着して生活をすると、エレベーターを使わないで階段を登るようになったり歩数を増やそうと心がけるようになるなど、自然に望ましい行動が増えていくのです。「用事や楽しみのついでに歩く」という行動も、既に習慣化している用事に歩くことを付加することで、ウォーキングという新たな行動を獲得しやすくする技法です。

 また、ウォーキングが良いと分かっていても、ウォーキングそのものが難しい高齢者や膝の変形などの障害が高度な方達がいます。そのような場合には、水中ウォーキングがお勧めです。水中では浮力を利用して楽に動くことができるので、膝への負担が少ない上に、陸上と違って転んで怪我をする危険性が少なく安全に行える利点があります。ウォーキングが難しい方達に試してみてはいかかでしょうか。

 次回はウォーキングの認知機能に対する効果と歩き方についてご紹介したいと思います。

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