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リハビリノート
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慢性疼痛に対するヨーガ療法の可能性

 皆様が住んでいる街中の一角やフィットネスジムのレッスンの一つとして、ヨーガ(ヨガ)を行う場所があるのではないでしょうか。ヨーガを行う動機として、「健康になりたい」や「リラックスしたい」など様々あるかと思いますが、今回は、慢性疼痛に対処する1つのツールとしてのヨーガ療法をご紹介します。

1)ヨーガ療法とは?

 ヨーガ療法とは、インド・ヒマラヤで厳しい生活環境に身を置くヨーガ行者によって行じられてきた伝統的ヨーガの技法を一般の社会人にも実習できるようにアレンジしたものと言われています。日本では、2003年からヨーガ療法の普及が始まり、統合医療の代表的な療法の一つとして認知されるようになっています。

2)心身症の一つとして慢性疼痛を捉えた際のヨーガ療法の役割

 心身症とは、身体疾患の中でその発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態を言い、整形外科領域では関節リウマチ、腰痛症、全身性筋痛症などが挙げられています。私たちが日々の臨床で対峙している慢性疼痛の代表例としての腰痛症は、見方によっては心身症として捉えることもできます。こうした心身症を患った患者に共通する性格として以下が挙げられます。

  1.  自分自身の感情を客観視することが不得手で、感情制御が下手な「失感情症」と言われる特徴
  2. 自分の肉体中に生じている諸変化に対する気付きが鈍いか、全く気付けない「失体感症」と言われる特徴、
  3. 自分のことよりも、外部に生じる事々に心が奪われている「過剰適応」と言われる特徴

 これらの性格特徴に対処する手段として、アーサナ(ヨーガの体位法)、プラーナーヤーマ(呼吸法)、瞑想という技法があり、自分自身の肉体の変化や心の動きなど生体内部情報の意識化を促します。このような各種技法により、身体機能の向上だけではなく、自己を客観的に認識することができ、心身症の範疇と考えられている慢性疼痛の克服につながるものと言われています。

3)ヨーガ療法の技法の紹介

 最後に、前述したアーサナ技法の一例を紹介します。この技法は、身体の動きと呼吸を連動させ、意識化することを目的としています。

-インスタント・リラクセーション・テクニック(I.R.T)-

 背臥位にて、息を吸ってから止めて、両足部を緊張させ、次に両下腿、両大腿を緊張させた後、殿部も緊張させます。ここで息を半分吐いて腹部をへこませてから、腰背部を緊張させて、次に、両手で握りこぶしを作って緊張させ、両上腕全体を緊張させます。ここで大きく息を吸って胸を広げて、頸部、顔面、頭部も緊張させ、体全体を緊張させます。その後、息を吐きながら体全体の力を抜きます。両脚、両腕を広げ脱力して自然呼吸を続け、体全体がリラックスしているのを感じ、心臓の鼓動も感じて、体全体に生じてくる変化を感じます。

 就寝前などに試してみてください。

 【引用文献】
  木村慧心:実践ヨーガ療法、産調出版、2011

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