整形外科、リハビリ、スポーツ医学、慢性疼痛、成長痛
目指せホンモノ健康!健康をあなたから。
リハビリノート
NOTE

感情と表情

 患者さまへの問診や痛み、機能についてお話をしているとき、納得されている?疑問に思っている?怒っている?など、不安に感じたことはありませんか?

 自分の説明に対して患者さまがどう受け取っているか、患者さまの言葉による返答だけでは判断できないことがあると思います。

 そこで今回は感情に対してどんな表情で表現されるのかをご紹介します。

1.悲しみ
・口をあける
・唇の両端を引き下げたまま、目を細めるかのように両頬を持ち上げる
・視線を下に向け、上瞼を落とす
・眉の内側の端だけを引き上げる
●強烈な悲しみないし苦悩が顔全体ににじみでている一つのきわめて顕著な兆候は、眉の内側の端が急角度にもちあがっていること(これは故意にできない) 。

2.怒り
・眉を寄せて下げる(眉間にしわが寄っている)
・目を大きく開く(上瞼を下がった眉毛に押し上げ、きつくにらみつける)
・唇をきつく結ぶ(すぼめるのではなく結ぶだけ)
●話をしていない場合、歯をくいしばる
●怒りを抑制しているときは口を結び、怒りが解放されたときは口を開く

3.恐怖
・上瞼をできるだけ上げる
・顎を下げて口をあける
・前方をまっすぐみる
・眉毛をできるだけ上げ、左右の眉毛を中央に寄せる
●手足が震えたり硬直したりし、顔や身体が後方へ移動している
●目だけに表れている場合、1~2秒の持続時間であれば驚きの表情
●唇を固く結んでいるときは感情を制御しようとしている

4.嫌悪
・軽蔑(極端)
・上唇が最大限に持ち上がりわずかに突き出す
・鼻孔の上から唇の両端の下まで伸びた皺・鼻翼が広がっている
・下がった眉毛
●上記の表情が左右アンバランスに表れた場合は、嫌悪または軽蔑を表している
●唇の端が引きつりわずかにあがっているのは明らかな軽蔑の表現

5.楽しみ(満足・興奮・快感・安堵・驚き・高揚感・感謝等)
・頬があがる
・目の下の皮膚に皺がよる
・目が細くなる
・眉毛・瞼が引き下がる(眉毛と瞼の間が狭まる)
●笑顔が楽しい感情の表現、程度の強度、表情になるまでの速さ、持続時間、消失時間で異なる
●正直な楽しさの感情は大頬骨筋と眼輪筋が同時に収縮する(魂のやさしい感情のみ働く)

6.楽しくない笑い
・唇の両端だけがあがる(大頬骨筋の働き)
・腕組み(これから起こる不安、ためらい、警戒心がある場合)(目の周りの筋肉の動きがない)

 感情は上記以外にもちろんありますが、今回はその中から数個記載させていただききました。 まずは鏡の前で上記の表情を自分で確かめてみてください。そして、患者さまと対峙するとき、患者さまの言葉だけではなく表情にも注目していただき、患者さまの本心を探ってみてください。すべての患者さまが満面の笑みで受けてくれるといいですね。

引用文献 ポール・エクマン 他:顔は口ほどに嘘をつく 河出書房新社 2006

一覧へ戻る